笠岡 貞江 Sadae Kasaoka

一度に両親がいなくなった寂しさは、とても言い表すことはできません

6. 伝えたいこと

私は子供達に証言する機会にいつも言っていることがあります。

「戦争がない世界にするために、自分が何をすればいいかを一人一人が考えてください。」

「争いは戦争だけではありません。自分たちのまわりにあります。家族の中にも、友達との間にもあります。なんとか暴力を使わずに、考え方の違いを克服する方法はないか考えてみてください。国と国との争いも同じことではないでしょうか?」

「一人の力はとても小さいです。でもどんなに小さな声でも、多くの声が集まれば大きな声になります。どうせ小さな声だからと黙っていては何も変わりません。どうぞ声を上げてください。」

核兵器廃絶も、証言を聞いてくださった一人一人が声を上げてくだされば、きっと実現すると信じています。だからこれからも証言を続けていきます。

原爆で病院も医者も看護婦も薬も何もなくなり、被爆者たちは体中に負った火傷に薬を塗ってもらうこともできませんでした。その窮状を知った赤十字国際委員会の駐日主席代表だったスイス人マルセル・ジュノー博士は、医薬品をたくさん持って来て治療にあたってくださいました。原爆孤児たちのために精神養子運動をして、親を失った子供達を支えてくださったアメリカ人のノーマン・カズンズさん、私が住んでいた江波に、家を失った被爆者のために家を建ててくださったアメリカ人の森林学者フロイド・シュモーさん、その他大勢の海外の人たちが広島のために尽力してくださいました。そのような人たちの国を憎むことができますか?その人たちの国と戦争をすることができますか?

私は平和というのは愛の心だと思っています。お互いに愛を持って接していけば平和は築けるのではないでしょうか。まず身近な友達とか家族とかから考えてみてほしいです。

笠岡 貞江さん

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