梶本 淑子 Yoshiko Kajimoto

伝えなければ過ちは繰り返される

8. 伝えることの大切さ

今の日本は平和でとても豊かです。若い人たちに、「8月6日は何の日か知っていますか?」と尋ねても、「山の日」という答えが返ってきたこともあります。原爆が落ちたと話すと、「どこに?」と聞き返されることもありました。「原爆を落とした国はどこ?」と聞いても、アメリカと答えられない人も大勢います。あまりにも戦争や原爆について知らない人が多いことに愕然とすることがあります。

2008年にアメリカに行き、子供達に被爆体験を話す機会をいただきました。そこで広島の原爆の話をすると同時に、今も世界中には原爆がたくさんあるし、小型化していて、もっと使いやすくなっていることを話しました。子供達は原爆がどんなものなのかも、今も作り続けられていることも知りませんでした。また12年間毎年福島県の会津若松で話をさせていただいていますが、子供たちは戊辰戦争の話は詳しく知っていても、第二次世界大戦や原爆のことはほとんど知らないのです。

原爆は過去の話ではなく、実は今の話でもあるのです。被爆の恐怖は、今も世界中で迫り続けています。伝えていかなければ、いつか忘れ去られてしまいます。そして同じ過ちが繰り返されるのです。これからも聞きたいと言ってくださる方がいる限り、私は伝えていきたいと思っています。

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