2011年10月07日

37 アメリカ編4-2

核軍縮に取り組む人たち

05年4月19日、世界平和ミッション一行はワシントンDCに移動した。
 翌20日、アメリカ国務省・多国間核問題室長代行のリンダ・ガリーニ女史をホテルの会議室に迎えた。彼女はアメリカ政府に30年間勤続、核関係のベテランである。開口一番「昨日、広島に行った友人からヒロシマの話を聞きました。人間は忘れやすいです。しかも、直面している問題に気を取られ易いから、貴方がたの行為は良いことです」と挨拶されたが、目は笑っていない。
 7回目にあたる今回のNPT(核兵器不拡散条約)再検討会議には150カ国以上が参加するだろう。過去5年間の推移をみると、イラン・イラク・北朝鮮・リビアなどが意図的に核を持ちたがっている。04年1月、パキスタンのカーン博士周辺による「核の闇市場」が明るみに出たではないか。その監視のためにはIAEA(国際原子力機関)による査察を強化しなくてはならない。アメリカは平和的な核軍縮、核の輸出入の管理の重要性を課題としています。核を悪用されないように、拡散しないように監視するために、アメリカが核保有をしているのは正当であると述べられた。
 私は「ヒロシマ・ナガサキで何が起こったかを念頭に置いてご活躍ください。広島には、地球上に核兵器が無くなったら消すことになっている『平和の灯』があります。せめて、私の孫が生きているうちに消えるのを願っています」と発言した。彼女は、アメリカは世界に監視の目を向けていると繰返すだけだった。
 25日、1997年に発足した「軍縮協会」のダレル・キンボール氏から見解を聞く機会を得た。彼は、若い人が歴史で起こった重要なことを知らないのを憂慮していると前置きして、アメリカの核兵器の現状について、次のように話された。確かに、今のアメリカは配備中の核弾頭を減らそうとしているが、外した弾頭を再配備できる状態にしているのが現状である。アメリカの核兵器備蓄が、他の保有国並みになるなら、国際間の話し合いが出来るだろうとも言われた。核兵器は決して使われてはならないもので、抑止力としてのみあるべきです。テロや化学兵器がターゲットになってもいけません。この協会は、核実験の抑制、兵器削減を求めていますが、残念ながらブッシュ大統領は私どもの進言を受けとめていませんとも言われた。 
 1997年、原水禁の催しで広島を訪れたという彼は、私たちミッションの主旨に賛辞を述べ、加えて、日本の景色、食べ物、日本人の気質は素晴らしいと、アメリカ人らしいリップサービスを忘れない人だった。この協会の進言がブッシュ政権に影響を及ぼすことが実現する日が来るのだろうか。
さらに、ブッシュ政権が終焉を迎えたとて、アメリカ自体が進路変更をするだろうか。私は果てしない疑念を抱いたままである。


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ガリーニ女史(左側)と(中国新聞提供)

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