2011年10月07日

43 アメリカ編4-08

ノーベル平和賞の誇り

05年4月25日、ワシントンDCのIPPNW(核戦争防止国際医師会議)を訪ねた。以前、スェーデン編とドイツ編の中でIPPNWの紹介をしたので、覚えて居られる読者もあるだろうが、ハーバード大学の医師たちによって1991年に設立された良心の団体である。
  アメリカのIPPNWメンバーは3万2千人、現在の主たる活動は国の政策を変えることであると言う。そのためのロビー活動を活発に行っているそうである。
 私たちはボブ・ムシル代表の説を拝聴した。
「クリントン元大統領が平和的と評価されているけれど、実は、強力なNGO(非政府組織)がいて、いろんな組織を作り、アメリカの軍縮を求めるとか、CTBT(包括的核実験禁止条約)の調印、NPT(核兵器不拡散条約)などにも大きな影響力を及ぼしてきたと理解していただきたい。
 問題があった選挙で勝ったブッシュ大統領は国際的な平和を拒否しています。
 IPPNWは、包括的平和運動(頭文字をとってSMARTプログラムと呼んでいます)を、国際的機関、国際的な法と方法を通じて核兵器、軍縮を実現させたいと思っています。アメリカは武器の新開発を止め、先制的戦争をするなということです。国防省すべての予算4500億ドルの優先項目は、他の手段によるセキュリティーとか、若い人たちの教育にエネルギーを移行するべきです。
 アイオワ州では、この運動を通じて市民の意識を集めました。オレゴン州、ウィスコンシン州にも伝わっていきました。ユタ州のマトソン下院議員は核実験防止の旗頭ですが、そのきっかけは、彼の父が州知事だったころ、核実験によって亡くなったからです。IPPNWのローカル会員は、核被害者たちの治療に当たっていますよ。」
私たちは、ムシル氏と入れ替えに部屋に入って来られたトム・グラハム氏の話を傾聴することになった。氏はクリントン大統領時代に政府の特別顧問として軍縮、核兵器制限などを中心に働かれた。現在は弁護士、大学講師、著作家として国際的な平和貢献をして居られる。
 「1998年、日本の首相は『日本は敗戦国である。アメリカの政策に疑問を持つことは出来ない。核の傘の下にいます』といいました。私は日本の政策について尊敬しています。しかし、核の先制使用について拒否の見解を持っていながら、日本政府が積極的でないのはどうしてでしょう。このことを、もっと主張すべきなのです。私は日本には何度も参りました。広島3回、長崎1回、それぞれ核問題の会議でスピーチをしました。被爆者とも話し合いましたよ」と、深い理解を示された。
 その中で、最も印象深かったのは「NPTを無期限に延長するのが日本の役割と思っている」というメッセージだった。

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(IPPNWオフィス)

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